ぼくのなつやすみ03

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■姉妹
叔父の家に着くと玄関でおばさんとぼくの母の母、おばあちゃんが迎えてくれた。
「お世話になります。」と父が挨拶して言った。
「ほんとによくきたね」おばさんとおばあちゃんは満面の笑みをぼくに投げかけてくれた。
やはりぼくは照れくさくもごもごと小さく返事をする。
父はぼくに向かって怒ったように「ちゃんと挨拶しなさい」と言った。
「いいよ、いいよ、まだなれないんだから」とおばあちゃん
「それより家に上がりなさい」とおばさん
父とぼくは招かれるまま部屋に上がった。
部屋に上がると畳と木の匂いがした。
「もう夕方だから飯にしよう」と叔父。
なんだか早い夕御飯だなと思いつつ座った。
父は丁寧に叔父と叔母、おばあちゃんに深々と頭を下げて挨拶している。
ふとふすまの隙間、隣の部屋からのぞいている目を発見した。
ばっちり目があった。
叔父はそれに気付いたいたのか、大きな声で
「ほら二人ともこっちに来て挨拶しなさい」と言った。
その声に促されて二人の女の子が入って来た。
「うちの子供だよ」と叔父。
二人は父に
「こんにちわ」と挨拶。
そのまま、また隣の部屋にさささと戻ってしまった。
「どうやらうちの子も恥ずかしいらしい」と叔父は笑って言った。
父が、
「では、飯食ったら帰りますんで」と
「もう遅いから明日の朝出たらどうです」と叔父。
「仕事がありませので」と父。
「とにかくご飯にしましょうか」と叔母が言う前におばあちゃんはすくっと立ち上がり台所へ。
回りではとうに夕方の日も下がり、暗い。
そのせいかすこし寒い感じがした。
さっきまでうるさいぐらい鳴いていたヒグラシの声ももう聞こえずとても静かだった。

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