ぼくのなつやすみ02

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■電車は走る

新宿から松本行きの電車に乗りガタゴトガタゴトと進む。
途中で乗る前に買ったお弁当を食べ、いっしょに買ったお茶を最後に飲みながら外を眺めていると向こうにおおきな富士山が見えた。
そして山々をすり抜け、何個もトンネルを抜けて進む。
やがて何個か目のトンネルを抜けるとすぐに川が見えた。
この川は叔父の家のそばを通っている。
その川が見えたということはもうすぐ到着という合図だ。
電車から降りる用意をしながらぼくはこれからの事を思ってちょっと暗くなった。
なぜなら今は、となりに父がいるけどついてしまったら父は帰ってしまう。
そうなるとぼくはひとりぼっちになるからだった。
まもなく電車は駅に着いた。
駅から降りると改札口には叔父が待っていてくれた。
「良く来たね」と叔父はやさしく笑いながら迎えてくれた。
ぼくは恥ずかしさからか思わずだまってうつむいてしまっていた。
「さあさあ、もうすぐ日が暮れるから家に向かおう」
そういいながら叔父はぼくの荷物と持つと歩き出した。
「車で来たからすぐつくよ」と行った先にはなんと軽トラが止まっている。
「お父さんと前に乗るからぼく君は悪いけど荷台に乗っていってくださいね」
叔父はそういうとひょいとぼくを持ち上げ軽々と荷台に乗せられてしまった。
そして車は走り出した。
けっして舗装もされていない道路はガタンゴトンと車を跳ね上げ、それに合わせてぼくも荷台の上で跳ね上げられていた。
このままじゃ落ちちゃうじゃないかと思うぐらい、ぼくは必死に荷台のふちを握りしめ体を固定していた。
揺られる車の荷台で流れる景色を見ているとやがて大きな川にさしかかる。
その時、夕方の大きな太陽が沈もうとしているのが見えた。
オレンジ色の大きな太陽はまるでその河に沈んでいく様な感じにさえ見えていた。
まわりではヒグラシの声がこだましている。
そんな景色をぼーっと見ているうちに叔父の家に着いていた。

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